みなさまお疲れ様です。
今回はストレージとSANスイッチが保守切れになり、リプレースする必要が出てきた場合、どのような移行ステップを考えればいいかを記事にします。
本記事では一例として「SANスイッチと一部のストレージが保守切れでリプレースの必要あり」という状況を考えてみましょう。
下記の図で赤点線部分をリプレース対象とします。「OLD Storage」はESXi用にデータストアを提供しているストレージと仮定します。
提案に当たって、下記3ステップを見据えておく必要があります。
①現状調査
②互換性の確認
③移行方針の検討
①現状調査
次の「②互換性確認」のために必要となる作業です。
SANスイッチに接続されているサーバー・ストレージの情報を確認します。
下記の情報をまとめておくと②でベンダーへの確認がスムーズになると思います。
・現行サーバー:OSバージョン
・現行サーバー:HBA Firmwareバージョン
・現行サーバー:HBA Driverバージョン
・現行SANスイッチ:FabricOSバージョン
・現行SANスイッチ:空きポートの確認
・現行ストレージ:Controller Firmwareバージョン
・現行ストレージ:SFPモジュール搭載状況、HBA空きポート状況確認
②互換性の確認
SANスイッチをリプレースする場合、新規SANスイッチはFabricOSが最新バージョンになるはずです。
この時、サーバー側のOS / HBA Firmware / Driver、ストレージ側のController Firmwareの互換性を確認する必要があります。具体的には下記を確認する必要があると考えられます。
互換性確認1 現行サーバー ⇔ 新SANスイッチ ⇔ 新ストレージ の互換性
◆新SANスイッチ、新ストレージが現行サーバーOSと互換性があること
→対応していないとOSバージョンアップが発生する恐れあり
◆新SANスイッチ、新ストレージが現行サーバーHBA Firmware / Driverと互換性があること
→対応していないとHBA Firmware / Driver バージョンアップが発生する恐れあり
→また、HBA Firmwareをバージョンアップする場合、現行SANスイッチとの互換性も確認 (移行時に事前作業としてFirmwareを上げるため)
※互換性確認1で、現行サーバーをサポートするFabricOSバージョンを確定させる
互換性確認2 現行ストレージ ⇔ 新SANスイッチ の互換性
◆現行ストレージコントローラーのFirmwareと1)で確定させたFabricOSバージョンの互換性があること
→対応していないとController Firmwareバージョンアップが発生する恐れあり
→また、Controller Firmwareをバージョンアップする場合、現行SANスイッチとの互換性も確認 (移行時に事前作業としてFirmwareを上げるため)
→下手をすると現行ストレージがサポートされないリスクあり
互換性確認3 現行SANスイッチ ⇔ 新ストレージ の互換性
◆現行SANスイッチのFabricOSと新ストレージの互換性があること
→データ移行の際に、現行SANスイッチに新ストレージを接続するため確認
→対応していないと現行SANスイッチのFabricOSのバージョンアップが発生する恐れあり
特に互換性の確認が取れないまま提案を進めると(そんなことは100%ないはずですが)
「いざ実作業を始めて問題が起き、サポートされない構成だと判明した」
「OSやHBAバージョンアップなど予想外の作業ボリュームとなり大赤字」
ということになりかねません。
③移行方針の検討
互換性まで確認ができたら、最後に移行方針を検討します。
規模が大きくないお客様であれば、提案時にある程度移行方針を固めると思います。
下記では移行方針の一例を記載します。
移行ステップ1 現行サーバー・ストレージのFirmwareバージョンアップ
まずは事前作業として、現行で稼働しているサーバー・ストレージのFirmwareバージョンアップ作業を行います。
②の確認結果に基づき、必要な機器のみバージョンアップを行います。
移行ステップ2 データ移行のため、新ストレージと現行SANスイッチ間のパスを作る
次の手順で行うデータ移行のため、現行ストレージと新ストレージ間のパスを作ります。
新ストレージにHBA空きポートが2つない場合、移行期間中は暫定的に1パスだけで運用を行うようお客様と調整する必要があります。
また、現行SANスイッチ側ににゾーニング設定が必要となります。
移行ステップ3 仮想マシンデータ移行
現行ストレージから新ストレージに対してvmdkを移行します。
ESXiホストから見ると現行ストレージ・新ストレージ両方が見える状態なので、Storage vMotionが可能です。
移行ステップ4 機器移行
すべての仮想マシンのStorage vMotionが終了したら、いよいよ機器を新SANスイッチに移行します。
一気に機器移行は問題発生時のリスクが大きいので、徐々に移行する方法が無難です。
接続して新ストレージが認識できない等があれば、旧SANスイッチ側に機器を切り戻して調査を行うなどの対応が可能です。
移行ステップ5 現行SANスイッチ・新ストレージ間のパス切断
移行のために準備した現行SANスイッチ ⇔ 新ストレージ間のパスを切断します。
旧SANスイッチと旧ストレージはそのまま撤去する流れとなります。
以上長文でしたがありがとうございました。SANの記事って意外と少ないですよね。
この記事が同じ悩みを抱えている方の助けになれば幸いです。
但し、移行方法についてはお客様環境毎にBestなものは変わります。本記事をベースにお客様にあった移行方針を考えるようご注意下さい。