仮想化エンジニア奮闘記

Citrix や VMware といったサーバー・デスクトップ仮想化の最新技術や設計情報の検証結果を共有します。(本ブログは個人のものであり、所属する会社とは関係ありません。)

vSANやるぞー!(16)-Stretched Cluster / ROBO

皆さまお疲れ様です。

2017年9月から始めたvSANのシリーズ記事ですが、今回で1回区切りをつけます。

今後vSANについては単発で記事にします。

 

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前:vSANをiSCSIターゲットに③

※本記事はvSphere 6.7、vSAN 6.7 を前提としています

 

 

vSAN Stretched Clusterとは?

Stretched Cluster は vSAN 6.1 から実装された機能で、地理的に離れたサイト間でクラスタを組める災害対策用の機能となります。

 

VMwareでは元々災対製品として vSphere Replication と Site Recovery Manager を持っていましたが、本番および災対サイトは Active - Standby で構成し、RPOは最低でも5分でした。

 

一方、vSAN Stretched  Cluster では、本番および災対サイトは Active - Active 構成で稼働し、監視用の Witness サイトの計3サイトで構成します。

データはサイト間で完全同期され RPO 0分、RTOも短縮できます。

 

Stretched Cluster はラック障害に備える Fault Domain の機能を利用して実現されており、仮想マシンデータがサイト間に分散されて保存されるようになります。

Stretched Cluster の構成図は以下のようになります。

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Stretched Cluster を構成した場合、仮想マシンストレージポリシーのFTTは「PFTT」と「SFTT」という2つに分かれます。

 

① PFTT = Primary level of FTT

サイト間のデータ複製に関する設定です。Stretched Cluster では、0 or 1 が設定でき

0の場合:サイト間に同じデータは配置されない (= サイト障害時の可用性なし)

1の場合:サイト間に同じデータが配置される (= サイト障害時の可用性あり)

となります。

 

② SFTT = Secondary level of FTT

同一サイト内ホスト間のデータ複製に関する設定です。Stretched Cluster を組んでいない場合のFTTと考え方は同じです。

 

※ちなみに、Stretched Clusterを組んでいない場合、PFTTが同一サイト内ホスト間のデータ複製に関する設定となります。Stretched Clusterを組むと、PFTTがサイト間複製の設定に変わり、元々PFTTの設定はSFTT側が担う形になります。

 

コンポーネントの書き込みが行われる時、下記図のようにデータが分散されます。

PFTTによりサイト間でデータが分散されて保管されるため、RPO 0分の実現が可能となります。

仮にProd Siteが罹災しても、HAの設定によりDR Siteで仮想マシンを再起動させることが可能です。これにより、RTOも可能な限り短くすることができるのですね。

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Stretched Cluster はサイト間のネットワークとして広帯域・低遅延の環境が必須であり、ライセンスも最上位のvSAN Enterpriseライセンスが必要なため、導入を検討されているお客様は少ないと思いますが、vSAN 6.6.1 - Getting Started (2018年9月4日時点) の HOLで体験することができます。

 

また、Storage Hub に Stretched Clusterのネットワーク帯域のサイジング情報も載っていますので参考にして下さい。

 

storagehub.vmware.com

 

 

 

ROBO (Remote Office / Branch Office)とは?

vSANのエディションは「最小ホスト3台・物理CPU毎のライセンス」となるvSAN Standard / Advanced / Enterprise 以外に、「最小ホスト2台・25VM毎のライセンス」となるvSAN Standard / Advanced for ROBO というエディションがあります。

※その他に、VDI環境向けに同時接続ユーザー数単位のエディションもあります

 

これはホスト台数2台から利用可能なリモートオフィスや支社といった小規模環境をターゲットとしたライセンスとなります。

 

さて、ここで「え?ホスト2台ってどういうこと?」と思われる方もいらっしゃると思います。

 

実はvSAN、特定の条件を満たせば2ノードで実行することが可能です。

 

「特定の条件」に下線を引きましたが、Stretched Cluster の構成図で記載した「Witness Appliance」用のESXiホストを別に準備すれば、2ノードvSANが構成できます。

従って、結局物理サーバとしては最低3台必要です。

 

ROBOの構成はメインDC内にvCenterとWitness Applianceを配置し、リモートオフィス・支社に2ノードvSANを配置してメインDCのvCenterで集中管理する形となります。

 

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図のようにvSANを構成するノード間はクロスオーバーケーブルでダイレクト接続も可能なため、高価な10Gスイッチを買わなくてもよいという点もコストを抑えられてよいかと思います。

 

コンポーネントは以下の図のように2ノード上に実データ、Witness上にWitnessが保存される形となります。

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「支社向けとかではなく、既存の仮想基盤にWitnessを乗せて、新規にvSAN用のハード2台を購入して費用を抑えてHCIを導入することもできるのでは?」と考えられる方もいらっしゃるかもしれません。

こちらは検証環境としての導入であれば適していると思いますが、本番環境向けに上記のように導入するのはオススメしません。

ROBOライセンスだと3ノード以上にできませんし、仮にStandard等のライセンスを買っても2ノード → 3ノード以上にするにはvSANを組みなおす必要があるからです。

本番環境では3ノード以上とするか、2ノードで入れたい場合は Simplivity や D-RAID など2ノードからスタートできる HCI を選びましょう。

 

こちらもStorage Hubに情報が載っているため参考にして下さい。

storagehub.vmware.com

 

それでは本日は以上となります。

長い間vSANの記事を書いてきましたが、一旦この記事で締めさせて頂きたいと思います。

ありがとうございました。